コンピュータシミュレーション | WHO’S LAB |大阪電気通信大学研究室紹介サイト /whoslab/research-keyword/computer-simulation/ WHO'S LABは、大阪電気通信大学の研究活動を発信する専用サイトです。 Tue, 03 Sep 2024 04:55:37 +0000 ja hourly 1 リチウムイオン二次電池に代わる環境にやさしい新充電池開発に挑戦 /whoslab/research/aonuma/ Thu, 15 Feb 2024 03:02:00 +0000 /whoslab/?post_type=research&p=7827 スマートフォンやノートパソコン、電気自動車などに欠かせないリチウムイオン二次電池は、世界的に需要が急増しています。しかし、材料に希少金属を使うためコストがかかり、環境への負荷が大きいことが難点。青沼研究室では、こうした課 […]

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スマートフォンやノートパソコン、電気自動車などに欠かせないリチウムイオン二次電池は、世界的に需要が急増しています。しかし、材料に希少金属を使うためコストがかかり、環境への負荷が大きいことが難点。
青沼研究室では、こうした課題に対応する高性能な電池の開発を進めています。

どこにでもある元素を使い 
もっと安く、高性能に

リチウムイオン二次電池は、その商用化に貢献した吉野彰博士がノーベル賞を受賞したことでも話題になりました。大容量の電力を蓄えられるのがメリットですが、材料としてコバルト、ニッケル、リチウムなど産地が限られる希少金属を使う点がネック。調達にエネルギーやコストがかかり、世界の政治経済の状況によって材料不足に陥るリスクもあります。

そこで青沼研究室では、地球上のどこにでもある炭素、水素、酸素などの元素で構成される有機化合物を使った二次電池を研究しています。リチウムイオン二次電池に比べてコストや環境負荷の低減が期待できる材料を使うだけでなく、より多くの電気を貯められる電池の開発を目指しています。

COCHILCOは,ロンドンのシンクタンクBMIのデータをもとに,国別リチウム生産量 (2022年見込み)を作成.

容量が大きく充電スピードも速い
新電池を可能にする化合物を開発

ポイントは、有機化合物を電極に使うと電池の容量が増える可能性があることです。リチウムイオン二次電池の正極に使われる代表的な化合物としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)がありますが、LiCoO21個あたり電子1個しか出入りしません。有機化合物では、分子1個あたり多くの電子が出入りするものが多く、貯められる電気が多くなります。

また、充電や放電のスピードも上がることが期待されます。リチウムイオン二次電池では板状の結晶が層をなしている構造の物質を使うため、リチウムイオンが層の間に出入りするのに時間がかかりますが、有機分子は層状でないためイオンがスピーディに移動できます。

青沼研究室では、1分子あたり4電子の出入りが可能な化合物を合成。リチウムイオン二次電池に使うコバルト酸リチウムに比べ、2倍程度のエネルギーを貯められることを見出しました。


コバルト酸リチウムの充放電反応(一電子)と有機化合物の充放電反応(四電子の例)の比較(e- は電子を表す)

多電子酸化還元平衡が可能な有機二次電池の例 (右上へいくほど高容量)

青沼准教授は、レアメタルであるリチウムの代わりにナトリウムやマグネシウムなど資源豊富なメタルを用いた電池(ポストリチウムイオン二次電池)の開発にも取り組んでいます。また、コンピュータシミュレーションで動作電圧を正確に予測したり、充放電の特性を解析するほか、新しい有機分子の設計にも役立てています。

エコで環境にいい電池!?
ポリフェノールが電池になる

化学電池は、酸化還元反応によって電子がやり取りされる仕組みを使って、電気を貯めています。つまり、酸化還元反応が可能な物質であれば、電池の材料になりうる可能性があります。
そこで注目されているのが、抗酸化作用を持つポリフェノールです。ポリフェノールは、ほとんどの植物が持つ苦み、渋み、色素の成分。体内でつくり出される活性酸素を還元し、身体を酸化から守る働きを応用して電池がつくれたら。自然界に存在するポリフェノールを活用すれば、さらにエコな電池が誕生するかもしれません。

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数値計算・3Dプリンタ・レゴなど多彩な手法でメカニズムを可視化 /whoslab/research/tanaka-h/ Thu, 21 Dec 2023 01:52:00 +0000 /whoslab/?post_type=research&p=6113 私たちの身のまわりにあるさまざまなモノ。その形や動きは実にユニークですが、背景には必ず物理や数学の理論があります。田中研究室は、面白い動きや不思議な造形をしたモノの機構=メカニズムを解き明かしながら、そのモノを設計し実際 […]

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私たちの身のまわりにあるさまざまなモノ。その形や動きは実にユニークですが、背景には必ず物理や数学の理論があります。
田中研究室は、面白い動きや不思議な造形をしたモノの機構=メカニズムを解き明かしながら、そのモノを設計し実際に作る「モノづくり」の研究室です。

6000連の振り子の動きをシミュレーション! 
3Dプリンタでパーツを作り、立体造形に

振り子とは、支点から吊るされ、重力の作用によって揺れを繰り返す物体のこと。ブランコや振り子時計などは、振り子になります。誰もが目にし、知っているように、左右に周期的に動きます。ところが、振り子を2つつなげた「二重振り子」は、一度揺らすととても複雑で非周期的な運動をします。この予測できない動きがカオス現象。二重振り子なら実際に現物を作って実験・検証することができますが、振り子を数百・数千もつなげて運動軌跡を検証することはほぼ不可能です。

そこで、田中教授はFORTRAN77というコンピュータ言語を使って、振り子が6000個連なる6000重振り子の運動シミュレーションを実施。その軌道は複雑で美しく、動画で見るとまるで風に舞うリボンのようにも見えます。このように、現実では実作不可能なものを、理論上で可視化することができます。

逆に、3DCAD3Dプリンタを使いこなすことで、綿密にシミュレーションして設計したものを、具体的なモノとして作り出すこともできます。3Dプリンタは大きいものを作ることは苦手なため、作りたいものを細かいパーツに分け、個別に3Dプリンタで出力し、組み立てて完成させます。

たとえば、この球体に近いものは切頂二十面体(Truncated Icosahedron)からできています。切頂二十面体とは、20の正三角形からなる正二十面体の各頂点12個を切り落とし、20の正六角形と12の正五角形にしたもの。さらに正六角形を6分割、正五角形を5分割し、全てを小さな240の三角形のパーツで出力し、組み立てています。

6000重振り子の運動シミュレーション
振り子が描く軌道は複雑で美しく,まるで風に舞うリボンのように見える.
切頂二十面体(Truncated Icosahedron)
20の正三角形からなる正二十面体の各頂点12個を切り落とし,20の正六角形と12の正五角形に.さらに正六角形を6分割,正五角形を5分割し,全てを小さな240の三角形のパーツで出力し,組み立てている.

レゴを使ってLEGメカニズムを実作! 
さらには機械式コンピュータ制作にも挑戦

またパーツから設計するのではなく、レゴブロックを使ったモノづくりにも挑戦中。たとえば「ストランドビースト」。オランダの彫刻家テオ・ヤンセンの造形で、風力によって生物のように歩く作品群です。その動きは「テオ・ヤンセン機構」と呼ばれ、組み合わせるとロボットを歩行させることもできます。

田中教授は、このストランドビーストをレゴで作り直し、LEGメカニズム(歩行メカニズム)を研究。その成果も活かしつつ、モーターや制御等を使わず、形と重量バランスだけで、重力によって斜面を歩く受動歩行(Passive Walker)のロボットを制作しています。

レゴを使ったさらなる挑戦は、機械式のコンピュータ制作です。そのモデルとなっているのが、ドイツ科学技術博物館に収蔵されている金属製の機械式コンピュータ「Zuse Z1」。ドイツの発明家、コンラート・ツーゼが制作したもので、世界初の「自由にプログラムできるコンピュータ」と言われています。

基本的に、コンピュータは二進数を用いて演算を行います。0か1かの信号を、半導体を流れる電流の有無で表し、その最小単位の回路を「論理ゲート」と呼びます。田中教授は、この論理ゲートをレゴで作り、いくつも連結させることで複雑な計算ができるコンピュータをめざしています。

現在、当時の資料を取り寄せて制作中ですが、まだ未解明の部分も多いそうです。完成すれば、世界初のレゴ製機械式コンピュータの誕生。どんな大きさ・形なのかも楽しみです。

レゴで制作されたPassive Walker
ストランドビースト(Theo.Jansen)のLEGメカニズム(歩行メカニズム)の研究成果を活かし,モーターや制御等を使わずに,形と重量バランスだけで,重力によって斜面を歩く受動歩行(Passive Walker)するロボットを制作.
ドイツの発明家,コンラート・ツーゼが制作した機械式のコンピュータ「Zuse Z1」. レゴで再現するという挑戦が始動!

楽しい! からスタートした技術が
月面基地設置に役立つ!?

これを学びたい! 知りたい!と感じる研究の第一歩は、「役立つ/役に立たない」ではなく、楽しいからトライするという好奇心。
けれども、たとえば240のパーツに分けた切頂十二面体は、圧力に強い球体に近く、運搬もコンパクト。月面基地を設置する際には、こうした設計技術が大いに役立つはずです。

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